誰が総裁でも「半分しか勝てない」自民党の内憂と日本保守党の活路
小泉進次郎現象の本質
前回の『地下社会的ロジックで計算した「高市さん」総裁選の「勝ち目」』では自民総裁選における票操作の実際を、2021年総裁選を振り返りながら解説した。その証左となるのが、自民党副総裁・麻生太郎氏の、
「今までは何となく、総裁選という芝居の幕が上がったら、だいたい芝居は終わっていた」
という発言だ。安倍晋三基総理と麻生氏の盟友関係はAAと称され、2021年には岸田文雄氏を「1票差勝利」という演出付きで決選投票に導いた。安倍元総理亡き後、増長した岸田氏によって自民は垂直方向に劣化。さらに自利だけのために、側近に相談することなく独断で派閥を解体した。
そのことで、2024年総裁選はカオスとなっている。麻生氏をしても、「今回は幕が上がりつつあるのだが、芝居はどうなるかもわからないし、主役も決まっていないし、配役もそろっていない状況」だ。
混沌ゆえ氾濫したのが「和田政宗」や「平将明」といったDQNネームや、「エモ記事」である。2022年9月12日配信のFRIDAYデジタルでは麻生氏が19日に「高市に入れろ!」と大号令をかけたと報じている。「石破VS小泉」なら自分の出る幕がなく両名の後ろにいる菅義偉氏にプレゼンスを奪われることに焦って……というのだ。
確かに麻生氏はマンガ好きだが、現実の場面で、そこまでマンガ的なことをするかは疑問だ。「小泉VS石破」の構図は以前からわかりきっていたこと。そのために自身の懐刀である甘利明氏による「コバホーク・プロデュース」を行ったことは前回導き出した。
総裁選で誰がなるか以前に自民党にとってはるかに深刻な病理は「小泉進次郎現象」だと私は考えている。「バカを騙す選挙」を政治家が使う事は繰り返し述べた。だが「バカ」を騙すためには一定程度の知能がなければならない。総裁選で自衛隊を使った対中強硬姿勢を取り繕い「新国防族」を自称する石破茂氏が防衛長官時代に起こした「味方撃ち」を例に、その騙しテクニックを解説しよう。
ところが今回の進次郎現象は「バカより低位の永田町要介護4」が「バカ」を騙すという異次元の構図だ。しかも諸手を挙げて進次郎氏に賛同する現職国会議員が大量にいる事実こそ、自民の抱えた深刻な病理そのものだと私は思う。
今回は私が最近多用する「バカ」を定義しながら、小泉進次郎現象の深刻性を明らかにして行きたい。劣化した自民は誰がトップになっても「半分しか勝てない」。そのことから導き出せるのが「日本保守党」の活路と価値だ。まずは石破氏の「手口」を明らかにしながら、「進次郎現象」の根底にある政界、日本社会の病理を解き明かして行きたい。