ワグネル内乱首謀者が大枚を使ってもみ消したい「強盗・詐欺・婦女暴行」ギャング犯歴を全部書く
巨大国家破綻は予測不可能
前回の『「無能の女王」稲田朋美の活躍が招いた「中国の高笑い」』ではLGBT法案を巡って自民党内に入った「亀裂」が決して浅くないことを解説した。
そうした政権与党の混乱を最も喜ぶ個人が「無策の女王」でありながら風を読む能力だけは高い小池百合子氏。国家だと中国である。
いよいよ日本経済に可視化されてきた米中サプライチェーン分断を解説する予定だった。しかし2023年6月24日、ロシアの民間軍事会社「ワグネル」が突如、モスクワに向けて進軍。
知人のロシアン・マフィアなどから情報を収集するので少し時間がかかったが、予定を変えて、「ワグネル内乱」について解説する。
特にこの内乱をもって「ロシアの終わりの始まり」というノストラダムス的予言が多く流布されているが、私は強い疑義を持っている。
端的な反証は、こうした「予言」には「いつ」が示されていない点だ。ローマ帝国でさえ滅びたのだから、無限に持続する国家など存在しない。すなわち具体的な時間が示されていない予測は「ノストラダムス的ご神託」としか評価できない。
そもそも「いつ」など予測できるのだろうか。「情報」を国家戦略の武器にしているアメリカでさえ、発生直前まで「ワグネル内乱」を確定させることはできなかったのだ。ロシアでは帝政ロシア→ソ連、ソ連→ロシアと2回革命が起こっている。情報と金融を連動させ武器にしているイギリスでさえ、革命の発生を確実に予測できなかったことを認めている。国家でさえ予測不可能な事態を、なぜ個人が予測できるのかが私には理解できない。
予言はそれなりに刺激的だが、外れた時に信頼を失う。不思議に思うのだが、現代のノストラダムスたちは日本経済の破綻について「ついに」、「寸前」を繰り返す。
この予言が当たっていれば「日本経済」は5秒ごとに破綻しているはずだ。昭和世代なら後藤勉を思い出すだろうが、そうした扱いになることをもちろん私は望まない。
暴力の世界に生きた経験を持つ私が強調したいのは、ロシアにおける「革命の形」が改めて示された点だ。理由は次回以降で解説するが現体制が持続したことに胸をなで下ろしたのはG7側だとしか私には思えない。
さらに内乱の首謀者のエフゲニー・プリゴジン氏はベラルーシへと亡命したが、そのことはロシアの核問題を別の次元に移行させることになったのではないかと私は考えている。
このままいけばロシアの核発射台、あるいは植民地にされかねないベラルーシにとってブリコジン氏は必要不可欠だった理由も自ずと導き出せるだろう。
そこで今回は、プーチンの料理人と呼ばれた「エフゲニー・プリゴジン」の謎に包まれた犯歴を精査。「チンピラ」レベルの犯罪者が飲食業からプーチン氏本人に食い込み巨万の富を築く暴力とマネーの黒い成功譚を整理する。
わかるのは、この「内乱」がのきっかけがウクライナ侵攻ではないことだ。2013年の秋、プーチン氏の「暴力装置内部」で発生した、ある確執が始まりだったと私は見ている。
大金を積んでもみ消した「ソ連ギャング」の過去
2016年、エフゲニー・ブリコジン氏はロシアの新法「忘れられる権利」を利用して検索エンジンの運営会社に15件の訴訟を起こす。消したかった「過去」は旧ソ連時代に遡る。