「ユートピア」を実現した「金融緩和」が「インフレ」を生んだ
コロナ禍では人類史に前例をみない「金融緩和」が実行された。だが、それこそが「マネーの供給過多」を理由にした「インフレ発生」の要因だ。2020年末に向けたワクチン開発により「ゼロコロナ」から「ウィズコロナ」へと転換する。この流れの中で、なぜ「金融緩和」が「インフレ」に繋がっていくのかを解説する。
猫組長
2022.05.02
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2020年に「インフレ」は始まっていた
コロナ禍では「経済の仮死」を止めるために、人類史に例をみない「金融緩和」によって大量のマネーが発行される。対応の選択肢がなかったものの、その結果、アメリカが働かなくても週に10万円を貰える「ユートピア」になったことは『国際情勢を知ることは「豊かさ」を獲得することである』で解説した。
実は、この「異様な世界」が創造された時点で「インフレの発生」は確定していたのだ。
例えば100個のリンゴに対して100枚の引換券しかなければ、1枚で1個のリンゴを手に入れることができる。ところが引換券を刷って1000枚に増やすと、1個のリンゴを手に入れるために10枚の引換券が必要になる。
引換券を刷ったことでリンゴ1個に必要となる引換券の量は10倍に上昇したということだ。これが「マネー」を大量に供給したことによるインフレの簡易モデルである(下図参照)。