政治発信に利用すべき「バカとアンチ」の使い方
評価されなければ「英断」は「愚策」になる
おかげさまで8月下旬に刊行した『正義なき世界を動かす シン地政学 "安倍後"を読み解くマネー、オイル、暴力の新方程式』(ビジネス社)が早くも重版決定となった。
ビジネス社
作成に当たってお世話になったビジネス社の担当編集さん、また装丁のデザイナーさんに謝意を伝えたい。「クレジット(信用)」の「意味の意味」については、『「猫組長POST」投資講座その2』で書いた。もっとも喜ばしいのは、本書を通じて読者の皆さんとの「クレジット」が構築できたことである。購入してくれた読者の皆さんへの深謝は満腔のものだ。
中でも私が、密かに猛烈な深謝感じているのが「アンチ」の連中だ。後述するが、情報発信において「アンチは宝」である。
「権力監視」をお題目にアンチ自民、アンチ日本の立場で、私たちの住む「日本」のすべてを貶める情報を常に発信し続けるのがリベラルメディアの「持ち味」だ。ただの「感想文」をあたかも真実であるかのように思い込ませる根底の装置が「世論調査」である。そこで前回の『2022年に検証すると反安倍カルトたちの主張は「誤り」でしかなかった』ではその「世論調査」に「演出」がなされていることを合理的に導き出した。
2022年8月24日、岸田文雄総理は「原発の積極活用」を自ら公表。どこかの回でまとめて解説する予定だが原発推進に一気に梶を切った岸田総理の政治判断を私は高く評価している。エネルギー安全保障については、「猫組長POST」で都度解説してきた。資源・エネルギー貧国日本にとって「原発」は、生命線ともいえるエネルギー生産装置だからだ。ところが東日本大震災によって多くの国民はトラウマ抱えた。
東京電力HPより
そのトラウマを、政治の力で転換する意欲的な政策といえるだろう。ところが、この政治判断が「英断」であることは有権者に伝わっていない印象だ。正しく評価されなければ「英断」も「愚策」に転落するのが民主主義であることはいうまでもない。
そこで考えたいのが岸田文雄総理と安倍元総理の「差」だ。安倍元総理は「安倍イズム」を浸透させるために「病的アンチ」を利用していたとしか私には思えない。岸田政権も自身の政治アピールのために、「アンチ」を利用しない手はないと私は思う。
そこで例として使いたいのが反日本カルト機関紙の雄「朝日新聞」と「東京新聞」の差だ。「朝日」は「使えるアンチ」、「東京」は「使えないアンチ」であることを導き出すことで、「情報発信」の現実を明らかにする。
実兄のために自衛隊を利用に失笑
まずは2022年8月29日、東京新聞が『元首相の家族葬に儀仗隊派遣、戦後は安倍氏だけ 実弟・岸防衛相が指示』と題した記事を配信した一件について解説しよう。
「儀仗隊」とは儀礼・護衛のために、天皇・皇族・高官や外国の賓客などにつけられる儀仗兵で構成された部隊だ。記事はあたかも当時、防衛大臣だった岸信夫氏が自身の兄である安倍元総理のために私的に自衛隊員を使用したかのようなトーンで書かれている。
この話、私が知っていることとは少し――いや、だいぶ違う。