「ロシアは何も失っていない」プーチン発言の裏にある世界再編の不気味なリアル
ロシアのGDP成長率予測が引き上げられた
2022年9月初頭から、ウクライナ戦争でウクライナ側が反転攻勢を行い、大規模な領土奪還を成功。ロシア敗北の楽観論がメディアで報じられているが、前回の『暴力の常識からみれば「ウクライナ戦争」は楽観できない』では、「暴力の常識」を使って「楽観論」を否定した。
もう1つ「楽観論」を否定する要素が、当事国のロシアがそれほど困っていないという事実である。私には冒頭のプーチン発言がブラフとは思えない。実際に知人のロシアン・マフィアも安穏としていて緊迫感はない。
2022年9月現在までのところロシア国内で深刻な物資不足が発生していることは伝えられてはいない。2022年7月にIMFが発表した「世界経済見通し」では、ロシアのGDP成長率が引き上げられてさえいる。
本来ならロシアは衰退していくはずなのに……。
ロシアの侵略戦争に対して世界中が結束して「批判」しているように思われがちだ。しかし、内心で喜んでいるどころか、混乱の「恩恵」に与っている国が多くあるのが事実である。一体世界で何が起こっているのか。
ちょうど2022年9月18日からFRB(米連邦準備制度)の意思決定機関FOMC(米連邦公開市場委員会)が行われる。そこで今回はFRBの利上げから浮かび上がる事実と、生まれつつある新たな世界構造を導き出していこう。
なにか遠い要素と遠い要素を結びつけて見えるかもしれない。だが、これは世界経済を読み解く上での基本だ。図版を使って解説をしていこう。