バカを騙すか、利口を味方にするのか――「自民総裁選」を読み解くキーワードは「安倍喪失後初」
前回の『「コバホーク」突発ゴリ押しに私が感じた「怪しさ」の正体』では突如始まった「コバホーク」キャンペーンの内幕を書いた。
小林鷹之氏を裏で支える人物が永田町百貨店に「タカ派保守」の値札を付けて陳列。子飼いの評論家やメディアを使って宣伝にも勤しんだが、しょせんは周りが貼ったレッテルである。知名度の低さを補うため、総裁選ではスタートダッシュを狙ったものの、賞味期限は短かいどころかSNSのトレンドにさえならない。それでも有力候補になるのが永田町の力学である。
私の予測は『月刊Hanada』2024年9月号の「ポスト岸田」私はこの人を推す」で書いた通りで現実的には小泉進次郎氏、岩盤保守層から見れば望ましいのは高市早苗氏である。
ところがここから先が見通せない。なぜか「ポスト岸田=総理」という図式で解説されるが、そもそも自民が単独過半数を取れるのか、あるいは自公で過半数を取れるのかがわからないからだ。
軸になるのが「バカ」と「改憲」である。
岸田総理は国家観を持たない政治家だが、小泉氏に至っては政治観があるのかさえ疑わしい。憲政史上最軽量級を突き抜けた羽毛級総裁を選ぶ目的は、衆院選で多数のバカを騙して票田にすることだ。
この「バカ釣り」はカマラ・ハリス氏、小池百合子氏、石丸慎二氏など2024年の選挙を巡る国内外のトレンドである。対して高市氏あるいは小林氏なら「岩盤保守層」が味方に付くかわりに、「多数のバカ」が離反することになるだろう。
衆院選は「改憲」ワンイッシューで、政界再編が起こる可能性についてはかねてから猫組長POSTで伝えた通りだ。憲法を理解しているかさえ怪しい小泉氏でさえ「改憲」という言葉を使い始めている。しかも自民は、「改憲」を小出しにして党勢維持を狙っているという。
とはいえ、これこそが自民党という党が本来持っている体質である。
領空侵犯に対して政府が行うのは厳重注意のみ。そればかりか王毅外相にへつらい中国救済を図る二階俊博氏を処分することもできないのが「保守政党」自称する自民の本質だ。リーダー不在の中で、このような矛盾が噴出しているのが「2024年の総裁選」だと私は見ている。そこで今回は、前回の予告通り、自民総裁選を分析する。多くの論説などでまったく触れられていないが、今回の総裁選を読み解くキーは「安倍喪失後初」だと私は考えている。