衆院2補選で与野党総崩れで日本保守党の躍進か
飯山陽氏と無策の女王・小池百合子の暗闘が始まった
政治不信から政治失望に
前回の『岸田「移民政策」の裏にある「自民とカネ」のただれた関係』では、クルド人難民を自称するトルコ人不法滞在者問題を例に、経団連と自民党の繋がりを解説した。いつの間にか日本は先進国で一番安い国に成り下がったが、これも自民―経団連の関係によるところが大きい。
徹底的に利益を追求するということは原価を下げるということだ。そこで日本人労働者の賃金が据え置かれたのである。ようやく上昇の兆しが見えてきたら、今度は移民との価格競争だ。本来、企業の過度な利益追求を規制するはずの政治が、逆にこれを助長しているのだから、豊かになるはずがない。
天皇という太陽神を中心にしてきた日本文化の土台は農業だ。生産性を上げるために個ではなく、集団で挑んできた。この伝統的共同社会の構造を「改革」と称して個人主義に転換していったのが、保守政党を自称する自民党である。
それでも国家観を持ったリーダーがいる時は、まだ健全に国家運営ができていた。ところが岸田文雄総理の政策は「財政均衡」、つまり「増税」のみ。喜々として財務省のポチとして働く一方で、他の政策は「良きに計らえ」のお公家スタイルだ。
アベノミクスの効果が顕在化して株価が上昇し、インフレに傾いても一般市民の給与は上がらない。自民党議員の「裏金」についてはタックスフリーだが、有権者は「増税」によって可処分所得が削り取られている。結果、外国人にとっては「格安」、日本人取っては手が出ないほど「高額」なギャップが生まれた。
与党に対する不満どころか、政治に対して絶望する層が日々増えていくのは当然だ。その自民党は2024年9月に総裁選を控える。常識的には、その前に衆院選が行われるはずだ。その衆院選の結果を占う、重要な前哨戦が衆院補選だ。
この政治失望の中、際立って目立つのが日本保守党である。補選にイスラム研究者の飯山陽(あかり)氏を擁立した。
飯山氏は象牙の塔に住む中東研究者から批判されがちだ。一方で石油ビジネスを通じて生のイスラムを体験した私は飯山氏をイスラムの現実を知る人として高く評価している。
選挙まで約1カ月の時間帯になったところで急速に増えたのが、無策の女王・小池百合子東京都知事の国政復帰をテーマにした記事である。私はこの奇妙な動きを、小池氏得意のメディア戦略だと考えている。東京15区補選に出馬した場合の「勝ち目」を計っているとしか思えない。
はたしてイスラム研究者・飯山氏と自称カイロ大学出身・小池氏の「アラビア語演説バトル」は現実のものになるのか――その暗闘を解説していこう。まずは自民の劣化を示すために、「エッフェル塔視察事件」の主犯格、参議院議員の広瀬めぐみ氏(57歳)の婚外交尾事件を考察するところからはじめる。これはただの婚外交尾ではなく、安全保障上の重大な問題だと私は考えている。