イラン戦争後の新地政学パラダイム―「E-MAD」が始まる日
核兵器に等しい海峡封鎖の破壊力
前回は『ガソリン200円危機の深層――米・イラン停戦ディールと「ヤバい」トランプ特使団の裏側』をお伝えした。アメリカ側の布陣とイラン側の要望がかみ合うはずもなく、イスラマバード会談は即日、物別れに終わった。金融市場は楽観に傾いているが停戦期限は間もなくで、トランプ大統領は4月15日の発言で「期限の延長は考えていない」と明言している。
世界が認識したのはエネルギー供給が薄氷の上で成立している事実だ。海運の要衝を絞める破壊力は核兵器の破壊力に等しいと言えるだろう。

そこで暴力と石油ビジネスの両方を経験した私が導き出したのが21世紀の新たな地政学的パラダイムだ。アメリカ、イラン、中国など多数のプレイヤーのジレンマを一本の線でつなぐその新地政学的パラダイムを「E-MAD」と名付けた。
日本には伝えられていないエネルギーの現実、大勝しているはずのアメリカ国内の深刻な事情、イラン自身が招いた危機、そして中国の沈黙……これら全てを詳説しながら、「E-MAD」とは何かとそこに至る理由を明らかにする。
中国の台湾侵攻、日本の抑止力、日米関係、高市政権はどうするの――私にしか描けないであろう近未来像。
日本国内では、「左翼」で総称される知能に問題を抱える人たちが「石油不足論」、「ナフサ不足論」を体制批判のために利用している。まずはエネルギー危機の本質に迫り、この危機のメカニズムのとらえ方の短絡性を解き明かしていこう。